第9回 Rolleiflexというカメラ
PENTAX67の写真を見て衝撃を受けて以来、ブローニーフィルムの美しさにはまり、俄然中判カメラに興味が湧いたのでした。
PENTAX67の画質にはいたって満足していたものの、その大きさ重さで気軽に持ち出すのは難しく、小型軽量な中判カメラが欲しくなったのでした。
小型軽量で、画質も良く、なんなら値段もリーズナブルなものが良いということで、Rolleiflexを手にしたのでありました。
僕が購入したローライは、V型とかオートマットMXといわれる機種で、レンズはtessar 75mm F3.5です。RolleiflexでもF2.8の機種はお値段張りますが、F3.5のものは手頃な値段で手に入ります。
二眼レフということでカメラ上部から覗くウェストレベルファインダーになるわけですが、大きなスクリーンで構図を合わせるのがとても新鮮です。左右反転するのでちょっと難しい、でもって水平をとるのも難しく傾きがち。
露出計は内蔵されていないので、勘で撮るか、単体露出計が必要です。気軽に始めるならスマホの露出計アプリで十分だと思います。
フィルムの装着方法も簡単。フィルムのスプールを下側に装着し、フィルム端を二本のローラーに通した後、上側のスプールに通して蓋を閉めて巻き上げるだけ。
二本のローラーの間隔で、フィルムの厚みが変化する点を検知し、そこからフィルムのスタートポイントをカメラが認識するので、手動でスタートポイントを合わせる手順が必要ないのです。とても賢い。
色味は大人しいものの写りは緻密。ボケた背景もちょっとざわついた感じでキレイとは言いがたいけれども、立体感はさすが中判カメラという感じです。
小型軽量で中判カメラの写りを味わいたい人にRolleiflexはおすすめです。
さあ、Rolleiflexで中判始めよう。
第8回 Polaroid SX-70というカメラ
撮るでもなくただそばに置いてあるだけで様になり、そのギミックをいじったりするだけで何となくワクワクするカメラ、Polaroid SX-70はそんなカメラです。
買ったときの興奮は今では落ち着いたものの、久しぶりに熱くなったカメラでした。
銀色のフレームに赤茶の革張り、ついつい触りたくなってしまうデザイン。
未使用時は小さく折りたたんでフラットにでき洋書のようなサイズ感になり、ファインダー部を引き上げ撮影スタイルにすると、レンズが現れ一眼レフカメラとして使えるのです。
ダイヤルでピントを合わせ、シャッターボタンを押すと、「ガシャ、エーン!」という少し大きめの音ともに前方から写真が排出される。すぐさま遮光し20〜30分ほど現像を待つとほぼ完全に写真が浮き上がる。
白のフレームに真四角写真が新鮮。彩度は低めで解像感も低め。でも不思議と味があるんですね。ポラロイドじゃないと撮れない写真があると思います。
革の収納ケースや速写ケース、フラッシュ、トライポッドマウント、レリーズなどアクセサリーも豊富でカメラとのデザインの親和性も高く、全部集めたくなってしまうのです。
Polaroid社倒産のためオリジナルフィルムの販売は終わったものの、impossible社が新たにPolaroid互換フィルムを作っているのでまだまだ使えますよ。インスタントカメラでおすすめの一台です。
第7回 PENTAX67というカメラ
初めての中判カメラである。
写真界隈で濱田英明さんの写真集haru and minaが人気で、その写真がPENTAX67で撮られたこともあってPENTAX67が売れていた。
で、僕も当然欲しくなって買ってしまったのでした、写真集もカメラも。
化け物のように大きいPENTAXということからバケペンという愛称で呼ばれるこのカメラ、とにかくデカくて重い。標準レンズ込みで2kgを超える。
もともとスタジオ撮影で使われていたカメラなので、室外に持ち出して使うのはなかなかにハードルが高い。
ただし写りは別格である。PENTAX67で撮った写真を初めて見たとき、35mmフィルムとの圧倒的な差を感じた。35mmでは超えられない壁を悠々と超えてくるのである。
その差はブローニーフィルムから生まれてくるのか105mm F2.5の写りから生まれてくるのか、たぶんその両方だろう。
ピントが合った点は圧倒的にシャープであり、ボケはとにかくなめらか。ボケ量も大きく非常に立体感のある写真となる。
過去に中判カメラも複数台所有していたがその中でも際立った写りのするレンズだ。
なかなか気軽に持ち出せるカメラではないが、ここぞというときに力を発揮してくれるので手放せないでいる一台だ。
第6回 Nikon FE2というカメラ
Nikon FE2、初めて手にしたフィルム一眼レフカメラでした。
Nikonは一度は手にしてみたいブランドで、周りでNikonを使っている人の写真が好めるものが多く、自分もNikonを使えばうまい写真が撮れるのではないかと思い購入したのでありました。
このNikon FE2、CONTAX Ariaを手にしてからほとんど使うことがなく、とうの昔に手放しております。それゆえ使い心地などはあやふやな記憶を頼りに書いています。
印象的なのはそのデザイン、いかにもカメラ然としております。FEシリーズとFMシリーズは最もNikonらしいデザインかもしれません。
比較的小型軽量で、そして、絞り優先が使えますので初心者にもおすすめ。
小さなことだけどフィルム巻き上げレバーを手前に引くことでシャッターボタンのロックを解除できるのは使い手に優しい、よく考えられてつくらカメラだなという印象でした。
所有していた50mm F1.4は、シャープな写りですが、やや固めな写りと表現されることが多いです。デジタルのシャープさとは違い嫌な感じはしないです。
色味に関しては、やや昔っぽい写りで見た目に忠実な写りとはちょっと違う感じです。やや色味が転んだような写りになるときもあります。
NikonというとNew FM2が定番ですが、FE2のように絞り優先機能が付いている電子シャッター機は使い手のスキルの敷居を一気に下げてくれると思います。
FE2は最初の1台目におすすめなカメラです。
第5回 Kyocera T proof
プラスチック製のチープなたたずまいのカメラも、時が一周回ってかわいく見えたりもするものです。ずんぐりむっくりの図体を手のひらで転がしていたい、そんな気持ちにさせてくれるカメラです。
Carl ZeissのTessarレンズが搭載されているだけあって思いの外写りはシャープです。
最短撮影距離は35cmで、スペック上は兄貴分のCONTAX T2を上回ります。
ただAFがくせもので、高い頻度でピントを外します。最短撮影距離も宝の持ち腐れ、ピントが合ったときはラッキーと思いましょう。
軽くて外観も気取ったカメラではなく気軽に持ち出しやすいので、このカメラほど常に持ち歩いて撮影していたカメラはありませんでした。どんなにいいカメラでも持っていなければ写真は撮れません。
T proofはたくさんのお気に入り写真を残してくれました。
けれどもCONTAX T2を手にした今、写真を撮り比べると残念ながら写りの差は歴然。この2機種に関しては、値段の差は写りの差です。
でも写りだけでカメラの価値が決まるわけではないし、写りが写真の良し悪しを決めるわけではありません。
すでに手放してしまったけどれどもT proofはお気に入りの一台でした。
第4回 RICOH GR1v
フィルム写真に魅せられて初めて手にしたカメラであり、もっとも長い付き合いだったカメラ、それがGR1vです。
その使い途をCONTAX T2に代わられた今、すでに手元にはありません。
海外旅行の度に持ち出したGR1v、思いの外カメラそのものに対する強い思いはありません。使いやすい道具といった感じです。
小型軽量で、さらにフィルムパトローネの収納スペースも兼ねるグリップがあるおかげでたいへん持ちやすく、ほとんど片手で操作ができてしまいます。
広角28mmというレンズも旅行には最適。AFのスピードも精度も高く、最高のスナップシューターとの評価にも納得です。
レンズもシャープで歪みのない良い写りですが、色のりは地味な感じで個人的にはCONTAXの方が好きです。
けれどもたくさんの思い出よみがえる写真を残してくれたカメラでもあります。GR1vで撮った写真を見ると、今より幾らか若いときに異国の地を旅したときの興奮が鮮明によみがえってくるのです。
第3回 Canon F-1
よくよく考えてすごくお気に入りのカメラってほどでもないのだけれども、あとあと振り返って自分の色を出せている写真は、たいていCanon F-1で撮っているのでした。
レンズは50mm F1.8、中古でたったの3000円で購入したレンズ。これが意外にもよく写る、ブランド名が付いたレンズなんかよりよく写るのです。
ただ、プロ用の機種だけあって、このカメラは重くて硬い。多少乱暴に扱っても壊れる心配はないけれども、カメラがモノを壊す心配はあります。
このカメラと交換レンズを1本、バックパックに入れて旅に出る。青い海に、黄金の稲穂が実る里山、Canon F-1で写真に収めた。
メカニカルシャッター機の撮影の手間が、使う楽しさを覚えさせてくれる。
フィルムを巻き上げ、絞りとシャッタースピードを合わせ、ピントを調整し、シャッターを切る。この一連の所作が心地良いのです。
プロ用機だけに、剛性を感じさせるデザインですが、Nikon Fの質実剛健さとは違う優美さも持ち合わせていると思います。
ファッションフォト業界で広く使われたのもここら辺に理由があるのかもしれません。