第3回 Canon F-1
よくよく考えてすごくお気に入りのカメラってほどでもないのだけれども、あとあと振り返って自分の色を出せている写真は、たいていCanon F-1で撮っているのでした。
レンズは50mm F1.8、中古でたったの3000円で購入したレンズ。これが意外にもよく写る、ブランド名が付いたレンズなんかよりよく写るのです。
ただ、プロ用の機種だけあって、このカメラは重くて硬い。多少乱暴に扱っても壊れる心配はないけれども、カメラがモノを壊す心配はあります。
このカメラと交換レンズを1本、バックパックに入れて旅に出る。青い海に、黄金の稲穂が実る里山、Canon F-1で写真に収めた。
メカニカルシャッター機の撮影の手間が、使う楽しさを覚えさせてくれる。
フィルムを巻き上げ、絞りとシャッタースピードを合わせ、ピントを調整し、シャッターを切る。この一連の所作が心地良いのです。
プロ用機だけに、剛性を感じさせるデザインですが、Nikon Fの質実剛健さとは違う優美さも持ち合わせていると思います。
ファッションフォト業界で広く使われたのもここら辺に理由があるのかもしれません。